「柔軟剤」という言葉の本来の意味は「(衣類を)柔軟にするもの」ですが(言語化の迷走 キネステティク・クラシック ネオ)

とある電車の広告を見て、目を疑いました。

「柔軟剤で、服を涼しくしよう。」

暑かったら脱げば良いですよね。
イラストの男性はシャツを着ていますから、ボタン二つくらい外して、メニューで仰げばいいですよ。
なのにここで「涼しくなる柔軟剤」。
なんでこうなったのでしょう。

柔軟剤とは、名前から考えると「柔軟にするもの」です。
ですが、それだけだと売る側にとっては限界が来ます。柔軟にする機能をどんなに磨いても、いつかは頭打ちになります。
それを打開する策として、「もっと付加価値を付ける」「今までにない新しい価値を付け加える」というものがあります。
柔軟剤業界は、柔軟にする→消臭をする→香りをつける、などの付加価値を加えました。
香りはまあまあ成功したようですが、「香害」が問題視されるようになりました(個人的には当然だと思ってますがそれはとりあえず置いときます)。
で、また別の付加価値を探しました。

そこで出て来たのが「涼感」です。
「涼感」は、繊維の世界ではすでに成功しています。
今後日本の夏は暑くなるでしょう。柔軟剤で涼感、これはいける……みたいな経緯で開発されたのではないでしょうか、多分。
しかし、そこにコロナがやって来ました。
コロナで外出を控える人が増えました。今夏は昨年までに比べると、外に出て暑い思いをしなかった人が多いのではないでしょうか。
……夏に売れなかった。
で、冬にこういう広告を打ったんじゃないですかね、多分。

この広告にはキネステティク・クラシック ネオ的な意味では、というか人間の持っている感覚を使うという意味では、香害と同じかそれ以上の困った問題の種が含まれています。
厚着をしていて暑くなっても、脱がなくても涼しい。
これは、感覚を鈍らせることに繋がります。
それに、涼しく感じられたとしても、実際は温度が下がってはいないんです。暑いなりの対処をしないと、上がった温度は下がりません。

このように表面上の「涼しく感じれば良いじゃない」「いい匂いがすれば良いじゃない(そもそもそれがいい匂いかどうかはまた別の問題)」が本当に身につける人のためになるのかどうかを、柔軟剤を売る側はよく考えてみた方がいいように思います。
そのほかの分野でも、売る側の理論、提供する側の理論で主体になる人を置き去りにしていないか、そろそろ考えた方がよいのかもしれません。

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