楽に横になるために必要なのは隙間にクッションを詰めることではない(キネステティク・クラシックの「環境」)

キネステティク・クラシックで、統合演習の前にやるのは、「環境」という項目です(何度も書いていますが、キネステで言う環境は物だけではなく、周りの人も含みます)。この「環境」では、それまで学んだキネステの概念を全部使って環境整備をしたりするのですが、今まで何度かベテランの専門家の方に言われて驚いたことがあります。
それは、

「今までは寝ていて隙間のある部分にクッションを詰めると思っていたんですが、違ったんですね」

・・・です。
そうなんです。隙間に詰めても楽じゃない場合があるんです・・・っていうか、楽じゃないことの方が多いんです。

わかりやすいので、枕を例に挙げましょう。
環境のところで、枕をどこに入れたら楽かという体験をします。
そのとき、首の下に入れたら楽、という人が時々居ます。頭と背中の間の、隙間を埋める訳ですね。
個人の好みなので、反対はしませんが、首の下に入れると楽と感じるかもしれないけれど、おそらく頭は動きにくくなります。逆に言うと、動かせるけど、大きな力が必要になります。

そのように、隙間を埋めるって、ほとんどの場合、動かしにくくすることなのです。動かしにくいということは、短時間寝ている分には楽かもしれませんが、長い時間動かさないでいると、身体には負担になりますよね。
じゃあどうしたらいいの?というと。
隙間を埋めたくなるのは、宙に浮いてるところの重さを支えているのが大変そうに見えるからですよね、多分。それと同じような考えで、隙間ではないところにサポートを入れることで、重さを支えるのが大変ではなくなるように、重さが支持面にしっかり流せるように、調整をします。
ぶっちゃけ、浮いてるところは、浮いてても平気だったら、支えなくても良いんですよ。たとえば、椅子に浅く座っているとき、膝~太腿の一部が座面より前に出ていたら、そこは宙に浮いていますよね。でも、別に辛くなくないですか。浮いていても重さがほかのところから支持面に流れていれば大変じゃないというのは、それと似たようなものです。

具体的に何をするのかは、状況によって違うのでここに書くことはできませんけれど(長くなりすぎる)、とにかく、隙間を詰めればいいと言うのは、勘違いなことが多いです。
寝たきりの人もですが、何らかの症状があって辛い人に、楽な姿勢をとってもらえるように、キネステの環境整備をもっとたくさんの人に知ってほしい。
ファシリテーターとしてだけでなく、呼吸不全で亡くなった身内をキネステを駆使して看取った者としては、心からそう思わずにはいられません。

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丸の内、イルミネーション始まってます~


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